ご挨拶

「病院に行かなくても病院の薬を買える薬局があったら……」


 薬剤師として調剤薬局に勤めていた頃、よくこんな声を耳にしました。

「よく処方してもらってるかぜ薬買えない?市販薬じゃ効かないんだよね」
「いつもの湿布が1袋だけ足りないから売って欲しいんだけど…え!?それだけでもわざわざ病院行かなきゃいけないの?」
「もう何時間も待たされてヘトヘト。いつもの塗り薬を1本もらうだけなのに…」

 病院で処方される医療用医薬品(病院の薬)は、一般に薬局やドラッグストアでは販売されていません。調剤薬局で入手する場合も、必ず医師の処方せんと引き換えに薬代と他の費用(基本料、調剤料、管理指導料など)を支払って、やっと薬がもらえる仕組みです。
 しかし、本当に薬局で直接買うことはできないのでしょうか?


 2010年の夏のこと。疑問に思った私は、皆様の声に何とか応えられないかと関係法令をくまなく調べました。すると、実際には処方せんがなくても薬局で販売可能な病院の薬が沢山あることがわかったのです。

 実は、病院の薬は法律によって「必ず処方せんが要る薬」と「そうではない薬」に分けられており、なんと全体の半数近くである約7千種類が後者、つまり処方せんが無くても薬局で直接買える薬だったのです。(注)


 それでは何故、調剤薬局では直接販売されていないのでしょうか……。
 多くの薬局では、それは「してはいけないこと」とされています。法令にはそんなこと一切記載されていないのにです。そして多くの医療関係者が、法令を確認することもなくそれを鵜呑みにしています。さらに、それが世間一般の常識にまでなってしまっております。「病院に行かなければ病院の薬はもらえない。」「直接買える薬局なんてあるはずがない。もしあれば、それは違法に違いない。」と。

 しかし、もう一度言います。
 皆様は法令によって、約半数の医療用医薬品を病院に行かずに薬局で直接買うことが認められています。


 ご存知の通り、かねてから日本の医療費は膨れ上がり、医療費抑制の名の下に様々な方針がとられています。病院に行く前に市販薬などでセルフメディケーションしましょう、大したことがないのに受診する『コンビニ受診』はやめましょう、といった具合です。

 では、当店が病院のかぜ薬を販売することは、医療費抑制には繋がらないでしょうか。
 いつもの湿布を、たった1袋出してもらう為に受診するのはいかがでしょう。それならば薬局で直接販売する方が、病院代や薬局の諸費用などがかからず、ずっと医療費抑制になるのではないでしょうか。


 私は、なかなか病院に行けないけれど病院の薬が必要な方々の受け皿になる為に、またそれにより医療費抑制に一役買えるようにと、このくすりやカホンを開業しました。
 まだまだ全国的にも珍しい、独特な形態の薬局です。様々な意見があるとは思いますが、すべては地域の皆様の健康の為に、小さな薬局で微力ではありますが、お力添えさせて頂きます。

くすりやカホン 代表




(注)医療用医薬品 = 処方箋医薬品 + 処方箋医薬品以外の医薬品
   ・処方箋医薬品 = 処方箋が無い者に(薬局が)販売してはならない薬
   (薬機法第49条)
   ・処方箋医薬品以外の医薬品 = 処方箋が無くても薬局で販売してもらえる薬
  (くすりやカホンで販売している薬)


薬剤師紹介

菅原 恭(すがわら きょう)
1981年 宮城県仙台市生まれ
北海道大学薬学部卒業、同大学院中退。 調剤薬局、漢方薬局等での勤務を経て、 漢方医の下で修行を積む。
2012年 北海道初&全国2例目の処方せんなしで病院の薬を販売する専門薬局(零売薬局) 「くすりやカホン」を札幌市白石区にて開業。
2018年 同東区に移転。
趣味:楽器演奏(ベース、ギター、ドラム、トロンボーン、ピアノなど)、サッカー観戦(北海道コンサドーレ札幌・べティスサポーター)、ドライブなど